40th Engineering

フリスクのCMをご存知ですか?日常の中にアイデアが降りてくる瞬間を切り取った傑作です。そんな「ピーン」とした瞬間を記録に残したくてブログを始めました。現状ほとんど買い物日記ですが。

グローバーオールのダッフルコート(575:モンティ)を買う

もう40代なんだから40代っぽい着こなしをしよう、というのがこのブログの裏テーマなわけですが、我ながら大学生っぽいなと思いながら、どうしても諦められない服がある。ダッフルコート。
 
いや、ダッフルコートを大人っぽく着こなせるおじさんたちがいることは知っている。しかしそういうのはファッション誌の中だけでの出来事で、現実世界においては非常に稀。一冬に一回か二回お目にかかれるかどうか。そんな貴重な人材に僕がなれるのか。なれない。しかし諦められない。
 
我ながらなぜここまでダッフルコートに執着するのかよくわからない。もしかしたら学生の頃、村上春樹が好きだったからかもしれない。うろ覚えですが村上春樹といえばダッフルコートですよね。青春時代に身についた好き嫌いというのは歳をとっても変わらないな、と41歳の今つくづく思うわけです。
 
そしてダッフルコートといえばグローバーオール。これもまた譲れない。なんでダッフルコートを着るかといえばイギリスっぽくしたいからで、Made in Englandにこだわりたい。しかし、それゆえにグローバーオールは高い。メイドインチャイナを見慣れた目にはメチャ高く見える。僕は仕事で少し縫製業界に携わっているので、日本と同様の物価の国で縫製していたらそりゃあ高いだろうということはわかる。しかしまあ、、、平行輸入モノとの価格差はなんとかならんのかという気もするが。
 
グローバーオールの定番モデルといえば512、もしくはそれを日本人向けにアレンジした920(とえらそうに書いていますが、この記事を書くために調べました)。いわゆる英国紳士のダッフルコート。
 
僕も学生時代から社会人8年目くらいまで、おそらく512と思われるものを三着続けて着ていたが、いずれも古着。新品は高くてとても手が出なかった。メルトンって何回かクリーニングするとどうしても毛羽立ってくる。それがいいという人もいるだろうが、僕はそれなら最初から古着で買おうと考えていた。だって高いんだもの、、、。
 
しかし30歳を過ぎてよれよれのダッフルコートを着ていると、なんというかいろいろな意味でヤバい。正直僕はヤバくてもまったく問題ないし、僕の奥さんも気にしない人なのだが、もう若くはないという事実を受け入れないのはカッコ悪いとも思っているので、この10年ほど、ダッフルコートは所有していなかった。
 
1年ほど前、デパートをカミさんとふらふらしていると、ちょっと若者向けの店でグローバーオールのダッフルコートがセールに出ていた。どうせ10%とかせいぜい20%OFFだろ、それでも買えないよ、なんて思いながら値札を見ると50%オフ。マジか!!
 
常々申し上げているように僕の信念は「セールでは買うな」なんだけど、そんな信念、心の底からどうでもよくなった。だって新品のグローバーオールが3万円代で買えるんですよ!!!
 
しかしこの店に並んでいるグローバーオール、僕の知っているグローバーオールとはちょっと違う。デパートに入っているからパチモンということはないだろうが、、、。手持ち無沙汰にしているカミさんを横目にいそいそと検索。ふーん、575、通称モンティと呼ばれるモデルなのか、、、。
 
トグルが水牛角ではなく木製で、ロング丈だが3つしかついていない。裏地もなし。なんというか、かなりカジュアル。だから若者向けの店に置いてあるんだろう。さすがに40歳の男にはカジュアルすぎるか、、、。
 
ご察しの通り僕は服の細かいディティールに詳しいわけではないが、ダッフルはもともと海軍用のコートで、由緒正しいのは水牛ではなく木のトグル(浮き代わりになるので。本当か?)だという話をどこかで読んだことがあった。もう少し検索してみると、ビンゴ!!この575は、ある意味よりクラシックなスタイルということらしい。
 
クラシックと言われると、おっさんが着てもいいか、という気になってくる。カミさんに聞くと、まあいいんじゃないの、という表情。タイミングよく20代半ばぐらいの店員さんが満面の笑みで近づいてきて、「グローバーオールのダッフルがこんなに値下がりすることはまずないですよねー。僕も一着ほしいくらいでー」と。そうそう、そうだよね。じゃあちょっと試着してみようかな。
 
しかしここで問題発生。目の前に並んでいるのは2色。しかし僕が当然こっちだろうと思っていたネイビーはXXLみたいなサイズしかない!!一応袖を通してみるが、七五三でケチって3年は着られるようなスーツを着せられた子どもみたいになった。
 
「そうなんです、、、やっぱりネイビーは人気で、、、」と悲しそうに語る店員さん。そうだよねー。やっぱりグローバーオールが50%OFFなんてそりゃカラクリあるよねー。
 
「でもこっちの色なら全サイズ、まだあります!」と誇らしげに指さしたのがビビッドなオレンジ!!
 
オレンジか。。。正直に言えば、目の前にキラキラと光るそれはかっこいい。かなりかっこいい。しかし41歳の俺がダッフルのモンティのしかもオレンジなんて着こなせるのか!?しかもけっこうビビッドだし!!
 
うーん、どうしようかなあと悩んでいると、まあとりあえず袖だけでも通してみたら、と店員さん。それもそうよね、、、と通してみる。鏡には見たことのない僕が映っている。カミさんを見るとなんだか笑い噛み殺しているような気がする。こんなの買えるか!!!
 
買った。
 
いや、ビビッドなオレンジ色のコートを着こなせるなんて思ってないよ。さすがにそんな自信に溢れたMens Clubの一員ではないよ。ただ、新品のグローバーオールを買える機会なんてこの先一生ないと思ったら買わないわけにいかなかったんだよ、、、。
 
そんなわけで、ビビッドなオレンジ色のダッフルコートを着てる。正直三日も着たら慣れてしまって別に普通じゃーんと思っている。しかし後で周りに聞くと「ああ、あのオレンジ色の人ですね」みたいな呼ばれようも結構されているみたいで正直複雑。